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2011/6/8 時間帯制限付発電 その1

6/1の初回のレポートでは、星野毅が考える発電に関する新エネルギー三本柱について説明しました。そして、より詳しく各エネルギーの問題点を解説したく、6/4の2回目のレポートでは24時間の定常発電について説明しました。今回は、新エネルギー三本柱の二本目となる、時間帯制限付発電について説明します。

 

太陽光

太陽光発電は、発電可能な時間帯は、当然ですが太陽が昇っている時間帯となります。福島第一原発の事故により太陽光発電が着目されていますが、その実力を解明したく、自宅に設置の太陽光発電(4.2kW)の発電状況を分析しました。

自宅では、東京電力の電化上手という電気を使用する時間帯で電気料金が変わる契約となっており、朝晩@23.13円(7時〜10時と17時〜23時)、昼間@28.28円(7〜9月は33.37円)(10時〜17時)、夜間@9.17円(23時〜7時)と、昼間は高く、夜間は安いという料金プランです。

まずは2010年の電気使用量の推移を月単位で分析しました。消費電力全体でみますと、夏よりも冬の方が消費電力が大きいことが分かります。エアコンは冷房よりも暖房の方が消費電力が大きいこと、給湯のエコキュートも冬の方がお湯を多く使用するため、沸かす電力が大きくなることの二つの影響があるためです。

さて、太陽光発電が期待できる時間は9〜15時と考えますと、朝晩、夜間は電気を買うことを覚悟し、昼間の時間帯の電力消費量を抑えることを期待したいです。結果は年間を通して昼間の消費電力は、朝晩、夜間の消費電力より抑えることに成功しました。

但し、夏場では夕方も気温が高いにもかかわらず太陽光発電の発電量は夕方には下がるため、この時間帯は電気を買わなければ生活できません。当然、雨、曇りの日も電気を買うため、太陽光発電は、晴れの日の昼間のみ電力使用量を抑えることに効果があると言えます。夏の電力使用量のピークは13時〜15時と言われ、15時以降も東京電力管内の電力使用量が大きいことから、太陽光発電が節電に貢献できるのは夕方までという事実は広く伝えなければなりません。

 

次に、太陽光発電だけで生活できるかという点について説明します。自宅はオール電化ですので、水道以外の光熱費は電気のみになります。

太陽光で発電した電気の総量が積算発電量で、これは売電量ではなく発電量の総量になります。また、消費した電気の総量が積算消費量になり、これは東京電力から購入した電気だけでなく、太陽光発電で使った電気も含まれます。よって、積算発電量を積算消費量で割った値が、電気の自給率となります。

結果、自給率は29%。太陽光だけでは生活できません。

つまり、太陽光で発電した電気を蓄電池に貯め、発電できない時間帯や曇りや雨の日の消費電力を蓄電池から供給した場合でも、71%の電気を東京電力から買わなければならないことを示しています。もし、太陽光で発電した電気だけで生活をしたい場合、太陽光パネルの大きさを約3.5倍にしなければなりません。現在が4.2kW分の太陽光パネルですから、約14.2kW分に太陽光パネルを拡張しなければならないということです。これは家庭の屋根に設置できる太陽光パネルの大きさではありません。当然、電気を貯めるための蓄電池も設置することが大前提です。

 

そして、誰もが気になることが、太陽光発電は果たして儲かるのかという点です。結論は、家庭用の規模でも儲かる計算結果を得ました。但し、売電価格が48円/kWという前提条件付きです。

2010年の実績から計算した売電料金が96,816円。これだけでは儲けることはできないため、太陽光発電から自宅で消費した電気代(太陽光発電が無ければ東京電力に支払した電気代)を計算しますと、誤差はありますが、69,259円前後になるかと思います。合計で、2010年の利益は166,075円となりました。

10年後の利益は、大きな気候変動は無いということを前提に、単純に2010年の利益を10倍しました。しかしながら、太陽光発電にて得られた電気を東京電力に売電したり、自宅で使用するために電気を送る機能を持つパワーコンディショナーという装置の交換が10年に1度と言われています。そこで、この装置の交換費用を概算として500,000円計上し、10年後の利益は1,160,750円と算出できます。実際には太陽光発電の設置のため、初期コストとして2,000,000円を要したことから、10年後では大幅な赤字です。

太陽光パネルの寿命は約20年と言われ、20年後には太陽光発電に関する装置一式を交換することを考えて利益を計算しましたところ、2,821,500円となりました。この額から最初の太陽光発電の設置費用の2,000,000円を引くことで、20年後には821,500円の利益が見込める結果を得ました。つまり、太陽光発電は損はしないという結果になります。

ここで一つ問題は、売電価格です。48円/kWは最初の10年間の契約でして、10年後の売電価格は決まっていません。採算の観点からは、40円台の売電価格を望みます。

もう一つの問題は、20年後に新たに太陽光発電を設置するかどうかの決断ができない場合があるという点です。例えば、太陽光発電の交換時における私の年齢が70歳でしたら、さすがにあと20年間生きられるかどうかは分からないため、太陽光発電の設置は見送ると思います。このように世帯の事情が発生します。

 

1)夕方も十分発電するための技術開発

2)発電効率の向上への技術開発

3)売電価格の政策

4)性能の良い蓄電池とのセット販売のための技術開発

が太陽光発電に関する課題です。私は、10年単位での時間はかかるものの、これらの課題は徐々に解決できる可能性を秘めていると考え、将来性という観点ではA評価としました。

 

風力、水力、燃料電池について

長文となりましたので、時間帯制限付発電のその2で説明します。

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