2012/7/1 高まるリチウム資源確保の重要性 -アメリカの学会に招待される-
韓国にて開催されたリチウムイオン電池国際会議IMLB2012のレポートと、帰国後にアメリカの学会での招待講演の依頼があった経緯を説明します。
リチウムイオン電池国際会議IMLB2012
6/17(日)〜22(金)の6日間、韓国の済州にてリチウムイオン電池の国際会議に出席しました。 世界各国のリチウムイオン電池に携わる研究者約2000人が集まる国際会議です。
特に韓国、中国からの参加者が多く、アメリカの大学や研究所に所属している韓国人、中国人というケースも多く見られました。この状況では、日本人は内向きであることを否定できません。
内向きの大きな理由としては、日本が高度成長を伴う経済大国“だった”からでしょう。これまでの日本は最先端の技術を有していましたので、外に出る必要性がありませんでした。しかし、今は“だった”の過去形の時代です。 私も積極的に外に出て、情報発信・情報収集しなければならない時代となりました。
会議の基調講演にて、サムスン電子は、「電気自動車EV等の普及により、今後、リチウムイオン電池の市場は半導体の市場を超える」と発言。 半導体事業の強いサムスン電子の発言だけに、リチウムイオン電池市場は次の経営の柱になるということでしょう。
また韓国ではスマートグリッドの実証試験を実施しており、この国際会議のテクニカルツアーにて、済州のスマートグリッド実験の見学を行いました。
日本も実証試験中で負けられませんが、済州のインフォメーションセンターのプレゼンはとても充実していました。
アメリカの化学学会での招待講演の招待状が届く
韓国でのリチウムイオン電池の国際会議では、私はポスターを用い、海水からリチウム資源を回収する方法についての研究成果を発表しました。
内容は後日詳しく紹介したいと思いますが、リチウム資源問題を取り上げた最新の発表でもあり、各国研究者の関心は極めて高く、予め参加者への配布用として用意したポスターのA4コピーは途中で無くなり、予備で印刷したものを追加配布するという大盛況でした。
今回発表した技術は、リチウムイオン電池のリサイクルにも応用可能なことから、帰国後、アメリカの化学学会での招待講演に関する招待状が届きました。
国際会議での反響が帰国直後に現れることは希な為、本研究の成果が世界へ与えたインパクトは大きかったことを表しています。
リチウムイオン電池の需要増と共に、リサイクルを含めたリチウム資源確保の重要性も高まります。
レアアース同様、リチウムも外国から買えば良いという時代が終わる時期が早く訪れることを危惧する、世界各国の研究者は少なくありません。